賃貸の仲介手数料について。「自社物件」も仲手を取るのってどうなの?
不動産の契約をする時にかかってくる仲介手数料。
売買でも賃貸でもほとんどの場合、物件本体の契約にかかる料金と合わせて仲介手数料が必要になってくる訳ですが、いったいどこに支払う「手数料」で、何のために支払うものなのでしょうか。
今回はその中でも、賃貸不動産の契約時に発生する仲介手数料についての解説と、理解すればこそそこから浮かび上がってくる疑問点(業界の闇の部分?)について解説していきます。
もくじ
賃貸の仲介手数料について
まずは賃貸不動産の契約に際して必要になる仲介手数料についてご説明していきます。
仲介手数料とは?
仲介手数料とは、その名の通りですが仲介してくれた業者さんへ支払う報酬のことです。
何かの時の物件の修繕費のプール金として支払う敷金や、大家さんに対して支払う礼金と違い、不動産仲介業者さんに支払う手数料です。
この手数料は賃貸契約が成立したタイミングで発生する手数料です。
仲介手数料の金額
賃貸借契約の仲介手数料については宅地建物取引業法によって契約した物件の賃料の一か月分までと定められています。
中には「仲介手数料半額」や「仲介手数料無料」といった物件もありますが、ほとんどの場合はこの上限いっぱいの仲介手数料が設定されています。
また、この上限の金額以外にも実は「仲介手数料は原則、借主と貸主それぞれから賃料の半月分以内とする」ということも定められているのですが、これはご存知の方は意外と少ないと感じています。
この通り、仲介手数料のMAXの金額は原則賃料半月分なのですが、同時に「依頼者の承諾があれば、どちらか一方から一ヶ月分まで受け取れる」というルールがあり、大半の賃貸借契約はこのルールを適用し、借主から一か月分を徴収しているということになります。
契約書類をちゃんと見直してみると分かるかと思いますが、皆様は「貸主の分まで仲介手数料を支払うことに承諾して」契約をしていることになっているはずです。
参考(外部リンク):国土交通省「宅地建物取引業法関係」
仲介手数料の消費税
ちなみにですが、仲介手数料には消費税はかかります。
つまり正確には仲介手数料のMAXは「賃料一か月分+消費税(家賃の1.1倍)」ということになります。
居住するために係る費用には消費税がかからない、ということはご存知の方は多いかと思いますが、仲介手数料は居住用ではなく仲介業者に支払う報酬なので、消費税がかかるということです。
ちなみに、賃貸住居を契約する際に賃料と別に支払うものとしては他にも、礼金・敷金・共益費などがありますが、これらは居住の為の費用であるため、消費税がかかりません。
仲介手数料が無料の場合もある
賃貸の仲介手数料は、無料や半額になるケースも多々あります。
最近ですと、よくテレビCMを目にするUR賃貸が仲介手数料無料であることは有名ですよね。
仲介手数料が値引き又は無料になるケースはいくつかありますが、代表的なものをいくつか紹介します。
・自社物件である場合
管理の手数料も収入になっていたり、そもそも入居されていることが収入になっているため、交渉してみると値引きしてもらえるケースがあります。
自社所有物件の中でも、入居者が決まりにくい物件は特に仲介手数料が値引きされることが多いです。
・オーナー様が持ち出すことを了承している、又は相談により了承してもらえる場合
物件の大家さんの立場からすれば、仲介手数料の分を持ち出したとしても入居している方が得である場合、こういった相談に乗ってもらえるケースもあります。
・仲介業者が仲介手数料以外の収入を得られる場合
具体的には「AD(広告費)」と言われるものがこれに当たります。仲介手数料ではないのですが、仲介した際に貸主側から貰える仲介手数料とは別の報酬、とイメージしてもらえば良いかと思います。
このADを取れる物件の場合、仲介手数料の減額の相談に乗ってくれる場合もあります。
などです。
さて、ここで少し疑問に思ったことがある方もいらっしゃると思います。
自社物件なのに「仲介」手数料・・・?
その件について、次の章で触れていきます。
「自社物件」で仲介手数料が取られる仕組み
さてここからは、少しだけ業界の闇にも触れていきますよ。
2種の自社物件と仲介手数料
まず、自社物件とは言っても大きく2つに分かれます。
自社管理物件と自社所有物件です。
自社管理物件とは仲介の他に管理も請け負っている別のオーナー様の物件、自社所有物件とは自社で仲介・管理をし自社で所有している物件のことを指します。
(※入居者の決定権を持つサブリース・借上げの物件についてもこの記事では「自社所有物件」に含めてお伝えします。予めご了承ください)
自社管理物件であれば、仲介手数料を仲介業者が取ることに何の違和感もありませんよね。
オーナー様が管理と募集を業者に依頼しており、自社で管理もしているものの募集についても「委託されている」という立場ですから、お仕事の対価として仲介手数料が発生するのは自然なことです。
一方、管理会社の自社「所有」物件についてです。
実情のお話しをすると、自社で所有する物件の賃貸借契約が成立したタイミングで、ほとんどの管理会社は仲介手数料を取得しております。
これだけ聞くとほとんどの入居者は、「仲介じゃないじゃん!」と思い納得がいかないかもしれません。
実を言うと私も取得するべきではないのではないか、と思っております。
カラクリを知った所で、私の意見も変わりませんし、皆様にとっても納得できるものでもないかもしれませんが、管理会社が自社所有物件で仲介手数料を取得する仕組みをお教えしてしまいましょう。
自社所有物件で仲介手数料を取る仕組み
さてそれでは、いよいよ不動産仲介の闇に触れていきましょう。
管理会社「〇〇パートナーズ」や「〇〇不動産」のグループに、「〇〇リーシング」や「○○ショップ」という会社が存在することが多いことはご存知ですか?
勘の良い方は気付いたかもしれません。
実は、自社で物件を所有またはサブリースしている管理会社の大半は、子会社やグループ会社として募集や仲介の専門の会社を持っています。
その会社を利用して「仲介」をするため、仲介手数料を取得できるということです。
簡単に図解すると、こんな感じです☟
ちょっと、納得いかない感じもしますよね・・・
私自身も、この業界にいながら違和感を感じておりますし。
実際問題、グループ内で仲介手数料と礼金を両方とも取得しているわけですし。
基本的には、「〇〇ショップ」などの仲介会社が案内から契約まで担当することになりますが、中には最後に名前だけ登場する会社もあるのも納得がいかない点です。
少しだけ具体的にしましょうか。
例えば、(株)なば屋管理の物件を皆さんが借りる検討をしているとして、その(株)なば屋管理に直接問い合わせをします。
なば屋管理の担当の人とやり取りをして、契約する決心をしたとしましょう。
いざ契約。契約書を見てみるとびっくり、そこには・・・
貸主 株式会社なば屋管理
借主 〇〇 〇〇
仲介 株式会社なば屋ショップ
という風になっているのです。
気持ち悪いですよね。
実際私の知っている管理会社がこの様なことをしておりますが、これで仲介手数料を取るのは流石に違法なんじゃないかな・・・と思っています。
最後に
さて今回は賃貸借契約の仲介手数料について、そして賃貸不動産業界の闇とも言えそうな仲手事情についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
いかがわしいことをしている業者もいますし、ちゃんと調べて賃貸借契約を結びたいものですよね。
実は一昨年にはアメリカのニューヨーク州で不動産仲介手数料の取得が禁じられたことが大きな衝撃を与えています。
(にも関わらず、日本でほとんど知られていないのは業界優遇の情報操作なんでしょうかね・・・)
ニューヨークと日本とでは市場も歴史もまるっきり違いますので、一概に参考にするべきではないかもしれませんが、日本国内においても仲介手数料の按分や取得の是非についても検討される時は近いのかもしれません。
ちなみに当店では仲介事業は行っておりませんが、契約をする不動産屋さんの選定や迷っている物件についてのアドバイス等は無料で行っております。
これからお部屋を探したい方、選ぼうと思っている物件が良いのか分からない方などの入居希望者様方は是非気軽にご相談してみて下さい。
また、「管理会社を探したい」「建築会社を選定したい」「アパート用地を探したい」「アパートの計画についてアドバイスが欲しい」等々のお悩みを持ったオーナー様方!
これが当店の一番の得意分野です!もちろん無料です!
是非ご相談ください。
皆様のお問い合わせ、心よりお待ちしております。
それではまた次の記事で・・・。