用途地域って?正しく知って正しい賃貸計画を!

用途地域って?正しく知って正しい賃貸計画を!

用途地域って?正しく知って正しい賃貸計画を!

どうも、なば屋のモノグサ店長です。

土地や家を購入しようとしたり、アパート・マンションの建築計画を練っているときによく耳にする用途地域。

土地を探しに行った不動産業者で「用途地域が○○なので」といった説明を受ける機会は多くあると思いますが、この用途地域についてあまり分からないままにしている方も多いのではないでしょうか。

賃貸経営をするにあたって用途地域を理解することは、その計画の規模や実現可能なプランの絞り込みなどに役立つだけではなく、周辺環境の大まかな理解や、そこから見えてくるニーズの目測をつけられるようになったり、皆様が思っている以上に重要なポイントになってきます。

今回は、この用途地域について、この記事1ページだけで理解できるようにまとめ、またあなたが建築する地点がどの用途地域に該当するのかの調べ方についてもお伝えしようと思います。

少しお勉強の色が出てきてしまいますが、最後までお付き合い下さい。

そもそも用途地域って?

まずはそもそも用途地域がどのようなものなのかご説明します。

用途地域とは、地域における住環境の利便性や業務利便の向上の図るために、用途に応じて13に分けられた地域のことで、その類型によって建築が規制されます。
規制されるのは、その建物の用途、建蔽率、容積率などです。

※予備知識
建蔽率(けんぺいりつ)・・・敷地面積に対する建築面積の割合(その土地の中のどれだけの面積に建物を建てられるかの割合)
容積率(ようせきりつ)・・・敷地面積に対する延べ床面積の割合(その土地に建つ建築物の全フロアの床面積の合計の限界値の割合)

R2.9.30更新  建蔽率・容積率について解説の記事をアップしました。
建蔽率と容積率?数値の調べ方や建蔽率の緩和条件も解説!

この用途地域の概要をご説明するにあたって、都市計画の概要もご説明します。

国が定めた「都市計画法」に基づいて各都道府県知事が「都市計画」をたてます。まずは地域を三つの区域に分けます。

都市計画区域・・・一体の都市として整備・開発・保全をする区域
準都市計画区域・・・都市計画区域外で、建築や造成が現に相当数行われている、又はその見込みがある区域
都市計画区域外・・・上記以外。市街化計画をしない区域

更にこの「都市計画区域」を三つの区域に分類します。

市街化区域・・・すでに市街地を形成している、または概ね10年以内に計画的に市街化を図る区域
市街化調整区域・・・市街化を抑制すべき区域
非線引区域・・・区域区分の定められていない都市計画区域

そしてこの「市街化区域」を用途・目的に合わせて21の「地域地区」に分類した内の一つが「用途地域」です。
(厳密には準都市計画区域にも「地域地区」を分類できます)

この地域地区には用途地域の他に、歴史的風土を保護することを目的とした「歴史的風土保存地区」や、農林漁業との調和を図ることを目的とした「生産緑地地区」等があります。
ここでは全21種の説明は割愛致しますが、種別は以下の通りです。

用途地域,特別用途地域,特例容積率適用地区,特定用途制限地域,高層住居誘導地区,高度地区又は高度利用地区,特定街区,都市再生特別措置法第36条第1項の規定による都市再生特別地区,防火地域又は準防火地域,密集市街地整備法第31条第1項の規定による特定防災街区整備地区,景観地区又は準景観地区,風致地区,駐車場法第3条第1項の規定による従者上整備地区,臨港地区,歴史的風土特別保存地区,第1種歴史的風土保存地区又は第2種歴史的風土保存地区,特別緑地保全地区,流通業務地区,生産緑地地区,伝統的建造物群保存地区,航空機騒音障害防止地区又は航空機騒音障害防止地区

今回のテーマである、この用途地域が、上述した通りその用途に応じて13に分けられます。

続けて、その13の用途地域についてご説明します。

13の用途地域

それでは、13種類の用途地域をご説明していきたいと思います。

13種類は、これらを3系統に分類することが出来きます。その分類と用途地域の種類は以下の通り。

住居系用途地域
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・田園住居地域(※2019年4月から追加されました)  計8種

商業系用途地域
・近隣商業地域
・商業地域   計2種

工業系用途地域
・準工業地域
・工業地域
・工業専用地域   計3種

これらの用途地域を系統に分けてご説明します。

住居系用途地域

まずは、8種の住居系用途地域についてご説明します。

・第一種低層住居専用地域

都市計画法では「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされています。
この目的の為、建物の高さが10mまたは12m以下に制限されます。いずれかになるかは都市計画で定められます。
また建蔽率は30~60%の範囲内、容積率は50~200%の範囲内で、指定されます。
この用途地域では住宅、アパート、図書館、小・中・高等学校等が建築可能ですが、大学や病院、店舗、事務所、遊戯施設、倉庫、工場等は建築不可です。

・第二種低層住居専用地域

都市計画法では「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされています。
高さ制限は10or12m建蔽率は30~60%容積率は50~200%と、それぞれ第一種低層住居専用地域と同じ範囲内で指定されます。
この用途地域では第一種低層住居専用地域で建築可能なものに加えて、日用品販売等の店舗や小規模な工場(パン屋など)が建築可能になります。

・第一種中高層住居専用地域

都市計画法では「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされています。
高さ制限がなく、建蔽率は上記2つと同じく30~60%の範囲内で指定されます。
容積率については100~500%の範囲内で指定され、上記2つよりも縦に伸ばした建築が可能です。
この用途地域では第二種低層住居専用地域で建築可能なものに加えて、飲食店や銀行等の比較的大きな店舗や大学等が建築可能になります。

・第二種中高層住居専用地域

都市計画法では「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされています。
建蔽率容積率は上記した第一種中高層住居専用地域と同じく、それぞれ30~60%100~500%の範囲内で指定されます。
この用途地域では、全ての業種の2階以下かつ1,500㎡以下の店舗や、1,500㎡以下の事務所が建築可能になります。

・第一種住居地域

都市計画法では「住居の環境を保護するため定める地域」とされています。
建蔽率は原則50・60・80%のどれかで指定され、容積率は100~500%の範囲内で指定されます。
第二種中高層住居専用地域で建築可能なものに加え、3,000㎡以下の店舗や事務所、作業場が50㎡以下の工場(環境悪化の恐れの無いもの)、3,000㎡以下の自動車教習所や、同じく3,000㎡以下のボーリング場やスケートリンクといった遊戯施設も建築可能になります。

・第二種住居地域

都市計画法では「主として住居の環境を保護するため定める地域」とされています。
建蔽率は原則50・60・80%のどれか、容積率は100~500%と、第一種住居地域と同じ範囲内で指定されます。
この用途地域では、環境悪化の恐れの少ない作業場50㎡以下の工場、ボーリング・スケート・ゴルフ練習場・カラオケ・パチンコ・雀荘等の遊戯施設が建築可能になり、これらを除いた工場や遊戯施設、風俗施設、倉庫業の倉庫が建築不可です。

・準住居地域

都市計画法では「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これらと調和した住居の環境を保護するため定める地域」とされています。
建蔽率は原則50・60・80%のどれか、容積率は100~500%と、第一種,第二種住居地域と同じ範囲で指定されます。
この用途地域では第二種住居地域に加え倉庫業の倉庫も建築可能になります。

・田園住居地域

都市計画法では「農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされています。
建蔽率は30~60%の範囲内、容積率は50~200%の範囲内で指定されます。またその他の建築制限についても第一種低層住居専用地域と同等の制限です。
一方でこの用途地域では、第一種低層住居専用地域では建築出来なかった小規模店舗等の建築が可能です。
ちなみにこの田園住居地域は、2019年4月に施工されたばかりですが、2022年の生産緑地法終了に合わせて作られた用途地域です。生産緑地法は、農地を営むと税制優遇が受けることが出来るというものだったのですが、その期限が2022年で切れるため、その時期に宅地として売却する人が急激に増加する可能性が高く、その対策として施工された用途地域です。

商業系用途地域

次に2種の商業系用途地域です。

・近隣商業地域

都市計画法では「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」とされています。
建蔽率は原則60または80%容積率は100~500%の範囲内で指定されます。
この用途地域では、環境悪化の恐れの少ない作業場150㎡以下の工場、ボーリング・スケート・ゴルフ練習場・カラオケ・パチンコ・雀荘等の遊戯施設までは建築可能で、これらを除いた工場や遊戯施設、風俗施設だけが建築不可です。準住居地域と比べて、工場の作業場の制限が少し緩くなったイメージです。

・商業地域

都市計画法では「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」とされています。
建蔽率は原則80%容積率は200~1300%の範囲内で指定されます。
この用途地域では、近隣商業地域では建築出来なかった遊戯施設や風俗施設も建築可能になり、環境悪化の恐れの少ない作業場150㎡以下の工場以外の工場を除き、建築可能です。

工業系用途地域

続いて、3種の工業系用途地域について解説します。

・準工業地域

都市計画法では「主として環境の悪化をもたらす恐れのない工業の利便を増進するため定める地域」とされています。
建蔽率は原則50・60・80%のどれか、容積率は100~500%の範囲内で指定されます。
この用途地域では個室付き浴場・危険性が高いまたは著しく環境を悪化させる恐れのある工場、以外の建築物は建築可能で、工業系とはいえ学校や住宅、その他商業施設も建築可能なのが特徴です。

・工業地域

都市計画法では「主として工業の利便を増進するため定める地域」とされています。
建蔽率は原則50・60%のいずれか、容積率は100~400%の範囲内で指定されます。
準工業地域では制限されていた工場についても、全ての工場が建築可能になり、一方で学校や宿泊施設等が建築不可になります。この用途地域では住宅は建築可能ですが、周辺の環境悪化の恐れのある工場もあるため、あまり住居向きの環境ではありません。

・工業専用地域

都市計画法では「工業の利便を増進するため定める地域」とされています。
建蔽率は30~60%の範囲内、容積率は100~400%の範囲内で指定されます。
この用途地域では、工業専用の名の通り、住宅や学校、飲食店等も建築不可となります。建築可能なものとしては、飲食店を除く店舗・公衆浴場・事務所・工場・カラオケボックス・自動車教習所・倉庫です。

まとめ

以上、今回はかなりお勉強の色が強くなってしまいましたが、このページ一つブックマークしといて頂ければいつでも調べられる「お役立ちツール」の様な記事に出来たかと思います。

最後に用途地域を更にまとめて簡単な一覧表を作成しましたので、ご参照ください。
(範囲ではなく、実際に指定される建蔽率や容積率を羅列します。ご確認ください!)

尚、建蔽率や容積率は、実際の土地には、防火地域による緩和や角地(二面接道)緩和等が受けられ、実際には数字が少し変わってくることもあります。
建蔽率や容積率の詳しい計算方法や緩和内容については、機会があれば改めてご説明しようと考えています。

【お役立ち】用途地域まとめ一覧表!

最後に一覧表をどうぞ!

用途地域一覧表

制限の変更や、2019年の田園住居地域の様な追加等が無ければ、永久保存版としてお使い下さい!
スマホの方は図を保存して拡大してご覧ください。
商用転載でなければ、好きに保存・利用して頂いて大丈夫ですよ♪

(おまけ)用途地域の調べ方

おまけ程度に、用途地域の調べ方をご案内します。

用途地域のデータについては、国土交通省のWebサイトからダウンロード出来ます。
国土交通省 国土数値情報 用途地域データ

更に、地図で簡単に調べるのに超便利なWebサイトもありますよ。
用途地域マップ
ここから入るとすぐ右側に「ここから開始」というボタンがありますので、そこからお入りください。
すぐに都道府県のリストが出てきて、調べたいところまで簡単に辿り着けるかと思います。

私はこの用途地域マップを愛用させて頂いております。

最後に

冒頭でも少し触れた通り、用途地域を知ることである程度周辺環境や今後の周辺の変遷等を予測できたりします。

特に賃貸経営をする上では、例えば「お値打ちな商業地域の土地」等が出てきたら買いです。

私も賃貸物件の賃料査定は数千件とやってきましたが、特に管理会社時代、管理する物件に対して「商業地立地なら査定賃料もうちょっと上げてもいいか」という判断をすることは度々あります。

また、目を付けた土地が安い理由に気付けたり、お持ちの土地の周りで今後どの様な発展をするか予想を建てることで、賃貸ニーズを絞り込めたりもします。

改めて用途地域を知り、正しい賃貸経営に近付けましょう!

最後に、もしお役に立てたのであれば、是非当店の他の記事も宜しくお願いします!

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