道を挟めば相場が変わる!?同じ駅への同じアクセス時間でも要注意!
道を挟めば相場が変わる!?同じ駅への同じアクセス時間でも要注意!
どうも、なば屋のモノグサ店長です。
いきなりですが、皆さんのご近所に建ったアパートやマンションが人気物件だと気になったりすると思います。
ずっと満室で、賃料も高いまま維持できていて、話を聞くとやはり賃貸経営は上手く回っている。
そんなご近所賃貸オーナー様と交流があったとしましょう。
賃貸経営する原資があるか、そこから近くに土地を持っていたとして、
ご近所さんの賃貸経営を羨んで、そして参考にして、「あの人と同じ様にやれば上手く行くんじゃない?建築メーカーを紹介してもらって、同じ様な計画だったら上手くいってる実績あるし、安泰だよね?」
と思いませんか?
もちろん、上手くいくこともあります。
でも、それが実は賃貸経営をスタートする上での危険行為だったりするのです。
結論から言ってしまうと、その土地ピンポイントに合わせた市場調査からのプランニングが必要です。
同じ駅の徒歩5分でも、道を挟んで向かい側は全く違う市場、ということがあるのが賃貸市場です。
せっかくなので、少しだけ実例を踏まえてお伝えしてきます。
道を挟んで向こう側は全く違う市場
「道を挟んであっちとこっちで市場が全然違う」というのは、実は日本全国でそんなに珍しいことではありません。
にも拘わらず、そういったエリアの事情等を知らずに見様見真似で賃貸経営をスタートすると痛い目を見ることになります。その結果、建築会社や管理会社に「あっちの建物は上手くいってるのに、うちは上手くいかない!似た様な計画をしているのだから、君たちのせいだ!」と責任転嫁します。
建築会社は建てるのが仕事ですので、市場にあった計画を求めることがナンセンスです。
出来がってから手を出した管理会社にはどうしようもありません。
(計画段階から管理会社が一緒だったのであれば、管理会社が悪いです)
今回は、関東でも特に有名なエリア1つと、私の活動のお膝元であるさいたま市から1つを実例としてご紹介します。
喜多見駅近辺
小田急小田原線の「喜多見」駅の近辺です。
ここは関東でも特に有名な「道を挟むと市場が違う」スポットで、賃貸管理会社や私のようなコンサルティング等、賃貸市場に気を遣うお仕事に携わる方であれば、知っているのが当然と言っても過言ではありません。
口頭で簡単にですが、道案内をしましょう。
行ける方は実感するために、是非行ってみて下さい!
喜多見駅北口に出て、すぐ左折します
↓
最初の交差点で右折します
↓
その道をしばらく真っ直ぐ歩いてみて下さい
道を挟んで左右の景色の違いにびっくりするはずです。
建物の造りや植栽のバランス等が真っ先に気付くポイントかと思います。明らかに右と左で小奇麗さが違います。
道の縁石さえも違います。足元を見ながら歩くとその違いがよく分かることでしょう。
この道は挟んで右と左で似たような間取りの物件でも1万円程度賃料が違うこともあります。
このカラクリは簡単で、実はこの道は、駅を背に歩いた場合右は東京都世田谷区、左は東京都狛江市なんです。
単純なイメージだけでも世田谷区の方が街づくり洗練されていて、賃料も高いイメージがあると思います。その通りです。
実は世田谷区は区の条例の中で建築・増築の緑化計画を報告する「みどりの計画書」の提出を義務付けていたり、街づくりに関して細かく定めていたりします。
詳細まではお伝え出来ませんので、下記を参照頂くと良いかと思います。
各個人や民間のものではない、道路の縁石まで違っているのは、市や区のお金の問題も関わってきます。
公共事業に使えるお金の量が違えば、整備されている割合や整備するタイミングも変わってきます。
道を挟んでたった2秒歩けば、市場ががらっと違うのです。
お向かいさんの物件を参考には出来ませんよね。
さいたま市中央区
ここでもう一つ。
喜多見駅周辺程有名な話ではありませんが、せっかく私の活動のお膝元なので「さいたま市」からもご紹介します。
余談ですが、そもそもさいたま市内は道路を挟んでではありませんが、線路を挟んで向こうとこっちで相場ががらっと違う、ということはよくある地域です。
関東全体においても主要路線である京浜東北線沿線に顕著なのですが、路線が地上をはしっていることで線路である程度分断されてしまっていることに起因するかと思われます。線路の向こうとこっちで、用途地域も違うということもざらです。
(ちなみに同じくさいたま市をはしる主要路線である「埼京線」は高架をはしっています)
こういった状況の中、やはりこのさいたま市にも、道を挟んで市場が違う、という有名な道路があります。
新大宮バイパスです。
この新大宮バイパスは東京都練馬区からさいたま市北区へはしるバイパス道路で、言わずもがな、さいたまの主要道路の一つです。実はこの新大宮バイパスの東西で市場や相場がガラッと変わります。
この項目のテーマであるさいたま市中央区に限ったことではないのですが、個人的にはさいたま市中央区が特に顕著に感じています。
この新大宮バイパスについては、上記もしました主要路線である埼京線との位置関係が大きなポイントです。
特にさいたま市中央区においては、埼京線の「与野本町駅」が主要駅となるのですが、新大宮バイパスを超えるかどうかが、だいたい徒歩10分の境目の目安になっています。
ちょうどその様な場所にあるものですから、実際は30秒の違いだけでも道を挟んで「遠い」「近い」が人々の印象の中で決められているのです。
道順や方角で駅徒歩距離は変わりますから、例えば実際の徒歩時間を聞かずに「バイパスより駅寄りの徒歩15分」「バイパスから向こう側の徒歩10分」の二者を見比べた時、前者の方が駅から近いという印象を持たれるケースが多いです。
もし、まだしっくりきていないさいたま市民がいる様なら、思い出してください。
「バイパスの向こう?遠いね~」
「バイパスのこっち?近いね。じゃあ歩けるか」
しょっちゅう言ってませんか?
実情はともかく、こういったイメージからやはり「バイパスの向こう側」は敬遠されやすく、賃料相場も変わってくるのです。
意識して見てみると、このバイパスの東西で建物の構造や間取りの傾向が変わっているのが分かります。
ちなみに体感ですが、バイパスの東西で自転車の保有割合なんかも違っている様に思います。
最後に(ミクロな市場調査の重要性)
このように、日本全国に「道を挟めば相場が違う!」「道を挟めば住む入居者が違う!」「道を挟めば入居者のライフスタイルが違う!」ということはよくあります。
となると、ご近所さんの賃貸物件を見て、同じ様な構造で・同じ様な間取りで・同じ様な外観の物件を建てれば上手くいく、というのは大変な勘違いということが分かりましたね。
賃貸経営をスタートする段階で、例えば「さいたま市中央区」だったり「与野本町駅徒歩10分圏」といった、だいたいのエリア全体のマクロな市場調査も絶対に必要です。
ですが、それだけで市場調査を完結してしまうケースが多すぎるのが問題だと感じています。
失敗しないためには、エリア全体のマクロな市場調査とあわせて、その土地ピンポイントに焦点をあてたミクロな市場調査や検討をしてから、賃貸物件の建築をスタートすべきです。
建築会社や不動産仲介業者はこういった調査・検討はしてくれないことがほとんどです。
あわせて下記記事をお読み頂けると幸いです。
「あなたのアパート経営がピカピカの新築でも失敗する可能性が高い理由 https://nabaya-consulting.com/archives/731」
「賃貸建築の注意点!賃貸管理のプロが思うプランニングの時に気を付けて欲しいこと https://nabaya-consulting.com/archives/760」
もし建築計画を迷っている土地があるのであれば、是非当店へご相談ください。
皆様の健全な賃貸経営を祈願しております。