賃貸と自治会の話。町内会費は払わないとダメ?
もくじ
町内会費の回収や、その他自治会とのトラブル
どうも、なば屋のモノグサ店長です。
賃貸経営に携わっていると、度々出くわすトラブルの一つに「町内会絡みの衝突」があります。
賃貸オーナー様と自治会とのトラブルでいうと、
「お宅の○○号室の人が町内会費払わないんだけど、どうにかして欲しい。」
「町内会費払っていないなら地域のゴミ置き場は使わせない。」
「町内会でゴミ置き場の清掃を持ち回りでやっている。入居者にもやらせてほしい。」
「オートロックだし、個別で案内も出来ないからオーナーが町内会費集めて振り込め」
等など・・・
また、入居者からも
「町内会が払え払えうるさいんだけど、どうにかしてくれない?」
とか・・・
実は何かと自治会絡みのトラブル・衝突は多かったりします。
私自身も、オーナー様から相談を受けて、実際に町内会とのトラブルの調整や、入り組んだ権利関係の調査をしたことも何度かあります。
逆にトラブルにならないように、アパートの竣工前に町内会とオーナー様の間に入ってやりとりし、賃貸開始の時には自治会オーナー間のトラブルは起こり得ない様調整をしたことも、度々あります。
オーナー様自身で町内会との様々な調整をするのも面倒ですし、そこで喧嘩になってしまっても仕方ありません。
そこで、「町内会費は賃貸借契約の中で支払うことを求め、管理会社に代行して払ってもらう」といった対応をするオーナー様や管理会社は割とあります。
オーナーや管理会社の立場にたつと、トラブルを未然に防ぐ手の一つとして有効ですし、こういった考え方はすごくよく分かります。
しかし実際問題、入居者に対して賃貸借契約の中で町内会費の負担を強いる、というやり方は有効なのでしょうか?
町内会費支払いを賃貸借契約で求めること
賃貸借契約で自治会加入を義務化
まずは、賃貸借契約の中で自治会加入を義務付けること自体、そもそも法的に可能なのでしょうか?
これは結論から言うと、可能です。
詳しくは割愛しますが、民法の中に契約自由の原則というものがあります。
例えば賃貸借契約書に「乙(入居者)の町内会への加入を必須とする」といった内容を記載し、契約時等に入居者への確認と同意を受けた場合、原則としてこの内容は有効となります。
「それならこれでトラブルを防げる」と思うのは少しばかり早計です。
自治会加入の継続や支払いについて
賃貸借契約書上で町内会への加入を義務付け、同意の上で契約したとしても、その町内会の会費の支払いを義務付けられるかというと、実は難しいです。
町内会は任意団体(法人格が無く、権利能力の無い団体)であり、加入するかどうかは加入する本人の自由です。
上記した通り、契約自由の原則から、賃貸借契約時に加入を義務付けることは可能です。
ただし、加入後脱退するのは本人の自由です。
賃貸借契約中の全期間で任意団体への加入を義務付けることは出来ない、ということです。
要するに、入居中ずっと町内会費の支払いを義務付けることは出来ない、ということですね。
賃貸借契約書の特約で、自治会費の支払いなき場合それを理由に更新拒否や契約解約が出来る、といった旨の記載をすることは可能ですが、賃借人保護の観点から、実際に自治会費未払いを理由に解約や更新拒否が出来る可能性は無いに等しいのではないかと思います。
オーナーや管理会社から自治会への支払い
これまで説明してきた通り、自治会は任意団体で加入は本人の任意によるものです。
当然、オーナー様や管理会社の町内会費の支払いの義務もありません。
ですが、賃貸経営をしていく上で、近隣の方々との関係を悪化させたくもないですし、何かあったら協力し合える関係性を築いておきたいのは間違いありません。
ですので、予めトラブルを未然に防ぐ町内会との調整が必要になってくると思っています。
最も多いゴミ置き場のトラブル
町内会とオーナー様、又は町内会と入居者間で最も多いトラブルは、圧倒的にゴミ置き場の問題です。
具体的には、入居世帯分の町内会費を集められないオーナーの物件はゴミ置き場を使わせない、など。
これについては、ちょっとお門違い感があります。
自治会との契約は入居世帯個人の問題ですので、全員分集められないからと言って、その物件の入居者にゴミ置き場を使わせないというのはまかり通りません。
また、この様なとんでもない理不尽じゃなくても、町内会費を払わない世帯にはゴミ置き場を使わせない、というケースは結構よくあります。
実際に町内会で管理しているゴミ置き場も多々ありますし、妥当な気もします。
ですが、ゴミについて廃棄物処理法には自治体の行政サービスとして行う旨が定められています。
つまり、ゴミ収集は町内会の加入の如何に関係なく受けられるサービスである、というのが原則です。
ただし一方で、ゴミ置き場が町内会の管理する施設である場合、町内会費の支払いの無い世帯のその施設の利用を禁止すること自体には妥当性があります。
また、ゴミ置き場の設置場所や設置状況(自治会の敷地内に設置してある、等)によっても諸々問題が絡んできます。
トラブルを未然に防ぐ調整はやはり必要ですね。
実際に自治会との付き合いはどうするべきか
この様に自治会との付き合い方によっては賃貸経営の妨げとなるトラブルになり得ますが、実際にはどの様に付き合っていくのが良いでしょうか。
最も大事なことは、その賃貸物件が入居者を迎え入れるよりも前に、自治会長などと話す場を設け、どの様にしていくのか調整することかと思います。
確認することは、
・ゴミ置き場の場所や利用について
・持ち回り清掃等はあるか
・入居者に対する持ち回り役務の免除
・自治会費の支払いについて
・自治会費の利用方法について
等です。
ゴミ置き場については、予め自治体に場所や管理について確認しておくと良いでしょう。
また、ゴミ置き場の町内会内での持ち回りの清掃等がある場合、入居者に対しては自治会加入者であっても免除してもらう様に調整しておくのがオススメです。
特に単身タイプである場合、その時間に自宅付近にいられない入居者であることがほとんどです。
物理的に無理なことを求められてトラブルになるのは未然に防いだ方が良いでしょう。
自治会費の支払いについては、個人的にはオーナー様や管理会社では集めないのが良いのではないかと思っております。
そもそもの話になりますが、本来町内会費の徴収は町内会の仕事で、オーナー様や管理会社の仕事ではありません。
角が立たぬ様に、例えば「賃貸借契約のタイミングで、自治会がきたら加入して協力する様にお願いは当方でします。ですので、加入のお願いや自治会費の収集は各世帯にお願いします。」といった話をしておけば良いでしょう。
自治会費の利用方法については、例えばゴミ置き場含め自治会加入者の利用出来る施設の管理費等がこれにあたりますが、その内容を入居者に対して説明しておくことで、入居者の理解が得やすくなります。
(一方で、近隣の高齢者の集会等の費用に主に使われていたりすると、余計入居者理解が得られにくくなる場合もありますが・・・)
最後に
費用の支払いの問題や、それに付帯してゴミ置き場の利用や清掃の問題など、実は賃貸経営を営む上でのいくつかのトラブル原因になり得る自治会との付き合い方。
先にお伝えしたように、事前の調整をしておく、ということが重要です。
支払いについても、当然お金の事なので後々揉めたくはありません。
最も多いトラブルであるゴミ置き場については、きちんと整理しておかないと大クレームになりかねない問題です。
ですが事前の調整をすると言っても、意外と自治会との関係も交通整理をしなくてはならない事項が多く、そもそも手間だったり、場合によっては調整段階で自治会と揉めたりすることもあります。
ナンセンスです。
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