賃貸経営で失敗しないために3種の「空室率」について押さえておきましょう

賃貸経営で失敗しないために3種の「空室率」について押さえておきましょう

「空室率」といっても種類がある!

どうも、なば屋のモノグサ店長です。

ごめんなさい、少しだけ記事更新の間が空いてしまいました。

今回は賃貸経営を営む上では最も大事な要素の一つである「空室率」についてお話ししたいと思います。

さっそくですが、ひとえに「空室率」と言っても、実は一つではありません。

中古賃貸物件を購入する場合や、賃貸管理会社のPRを受ける場合にあたってよく目にするのが、「空室率○○%」という文言。

私自身が元賃貸管理会社の営業マンですので、会社案内のトークとしてたまにお話もしていました。

例えば・・・

「当社さいたま支店の空室率は1%切ってるほど優秀なんですよ!」

といったアピール文句です。

中古賃貸物件を購入する際の資料としても「空室率5%」等と案内を受けたりもしますよね。

先に、空室率は一つではないとお伝えしましたが、「どういった意味合いの空室率の話なのか」ということをしっかり理解しておかないと、上記した例も全く話が変わってきます。

この記事では、

・時点空室率

・稼働空室率

・賃料空室率

この3種の空室率についての解説します。

3種を使い分ける管理会社のちょっぴりずるくて、小賢しい秘密のテクニックについても、ちょっとだけ紹介してしまおうかな・・・。



3種の空室率の違い

ここからは、早速これらの3種の空室率についてご説明していきます。

時点空室率

まず一つ目に「時点空室率」についてご説明します。

時点空室率とは、その名の通り「時点」をベースに考えます。

今の時点(または調査時点)で、何部屋空きがあったかの空室率です。

例えば・・・

保有している賃貸アパートの賃貸可能な全戸数が10戸、今日現在の空室数が3戸であった場合、その時点空室率は30%となります。

計算方法

時点空室率(%) = 空室数 ÷ 全室数 × 100

何といっても計算が楽なのがポイントです。

今現在、どのくらいの稼働率で賃貸物件が働いているのかを把握出来ます。

ちなみにですが、テナント貸し出来る広い賃貸物件の場合室数ではなく、「空いている面積÷全体の面積×100」といった具合に、専有面積で計算するケースもよくあります。

計算は楽ではありますが、賃貸経営の経営状況を把握したり、不動産投資の検討の際には、あまり採用されるべき空室率ではありません。

一方で、実は賃貸管理会社はよく使っていたりします
ここがポイントです。後述します。

稼働空室率

続いて「稼働空室率」についてご説明します。

こちらもその名の通り「稼働」をベースに考えられます。

年間を通した稼働割合で算出する空室率です。

例えば・・・

全10室の内年間を通して3室に空室が出て、それぞれの空室期間が1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月(3室合わせて全体で6ヶ月の非稼働期間)だとした場合、その稼働空室率は5%です。
(※正確には日数で計算しますが、複雑さの会費の為ここでは○ヶ月で計算しています)

計算方法

稼働空室率(%) = 年間の各部屋の空室日数の合計 ÷ (全室数 × 365日) × 100

時点空室率に比べるとちょっと計算が面倒です。

ですが、年間を通してどれだけの稼働と空室があるのかを理解できる空室率ですので、当然時点空室率よりも賃貸経営を営む上ではしっかり見ておかなければいけない空室率であると言えます。

賃料空室率

最後に「賃料空室率」についてご説明します。

こちらもこれまでの二つと同様に「賃料」をベースに考えられています。

稼働空室率の賃料バージョンと考えて頂くのが良いかなと思います。

計算は稼働空室率よりも、更に少しだけ複雑になります。

例えば・・・

全10室の内、想定賃料が10万円の部屋が4部屋,9万円の部屋が3部屋,8万円の部屋が3部屋あったとします。
その内、年間を通して10万円の部屋2室にそれぞれ1ヶ月と2ヶ月、8万円の部屋に3ヶ月の空室があった場合、

年間の満室想定賃料は1092万円、空室であった損失分の賃料は54万円、その賃料空室率は約4.95%となります。

計算方法

賃料空室率(%) = 全空室の想定賃料の合計 ÷ 満室想定賃料 ×100

計算がやや面倒ではあります。

が、年間の収支を計算する上で最も分かりやすいのがこの賃料空室率です。

賃貸経営のキャッシュフローを見るにあたって、最も重要な空室率であると言えるでしょう。

ちなみにですが、空室率に対して「入居率」という言葉を耳にする機会もあるかと思います。

入居率は空室率の逆で、入居割合について計算したものです。

ご紹介した3種についても、単純に「空室」の部分を「入居」と置き換えて計算すればOKです!
(100%から空室率を引いてもいいですよ)



賃貸管理会社が時点空室率を利用する理由

さてそれでは、冒頭お話しした、管理会社の「ちょっぴりずるくて、小賢しい秘密のテクニック」についてお伝えしましょう。

時点空室率のご説明でも少しだけ触れましたが、賃貸管理会社は時点空室率を利用することが多いです。

賃貸管理会社を選定したことのあるオーナー様であれば、管理会社の会社案内資料等でこういった文言を見たことはありませんでしょうか?

「当社管理物件の空室率○○%(令和○年○月○日現在)」

どうでしょうか。

勘のいい方ならもうお気づきでしょうか。

 

そうです。

様は、都合のいい調査時点での空室率を出してしまえば優秀な空室率を見せられるわけです。

実際、私の在籍していた管理会社でも「空室率0.9%なんですよ」などと案内している社員もいましたし、会社のプレゼン資料にも記載してありました。

私もお話することはたまにあったのですが、必ず「今の時点で」とか「○月○日に調査したタイミングでは」と言った言葉を付けて、ずっとこの数字ではないということはお伝えする様にしていました。

ちょっと意地悪に思うかもしれませんが、こういった空室率の話が出たら「昨年の稼働空室率はどうですか?」等と聞いてみるのが良いかと思います。

本当に年間を通して優秀な経営をしている管理会社であれば、ちゃんと教えてくれるはずです。

 

ちなみに、当店ブログでは過去に「良い管理会社の選び方」についてもお伝えしています。
あわせてご参照ください。

アーカイブ 良い賃貸管理会社を選ぶための大事なポイント,注意点



まとめ

最後に簡単にまとめます。

時点空室率はそのタイミング一瞬を切り抜いた空室率

稼働空室率は年間の全室の稼働割合を表す空室率

賃料空室率は年間の収支の満室想定に対する割合を表す空室率

空室率から、その賃貸物件の全てが分かるわけではありませんが、経営する上でとても大事な、しっかり検証すべき要素です。

そして、自分の物件や、購入検討物件の空室率を見ることも大事ですが、もっと広くエリア毎の空室率の比較によって、需給バランスやエリアの成長性・成長曲線を推測することも出来ます。

しっかりと3種の空室率について理解して、今後の賃貸経営に役立てて頂けると幸いです。

 

尚、当店では賃貸管理会社や建築会社の選定のお手伝い、土地や物件の簡単な調査も無料で受け付けております。

賃貸経営に関して、何かお困り事や悩み事がある方は勿論、興味本位で相談でもOKです。

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