【定借の可能性】定期借家契約のメリット・デメリットと活用法,普通借家との違い

【定借の可能性】定期借家契約のメリット・デメリットや活用法,普通借家との違い

【定借の可能性】定期借家契約のメリット・デメリットや活用法,普通借家との違い

どうも、なば屋のモノグサ店長です。

今回は賃貸経営に携わっていると耳にする機会も多々あるかと思いますが、「定期借家契約(定借)」(ていきしゃっかけいやく・ていしゃく)についてお伝えしてきたいと思います。

通常の賃貸(普通借家)とは違い、更新が無いというのが最も大きな特徴なのですが、まずはこの定借についてのご説明からしてきます。

定借について理解している方は、上の目次から目的の内容まで飛んでくださいね!

定期借家契約とは

定期借家のご説明するにあたって、まずは通常の賃貸について簡単に触れます。

通常の賃貸(普通借家)は従来からある借家契約で、今賃貸物件にお住まいであればほとんどの方は普通借家契約でお住いかと思います。
この普通借家は借主保護の観点に立った借家契約で、例えば更新の選択権を借主が持っていたり、貸主サイドから解約を申し入れる場合正当事由が必要となります。

その為、数多くの空き家が「明け渡される目途がたたない」ことを理由に、有効活用されずに放置されている実情がありました。

そこで2000年3月の借家法改正で施工されたのが「定期借家契約(定借)」です。

予め定めた契約期間が満了したら借家契約が終了する、というものです。

定期借家契約は、普通借家契約とは違い書面での契約が必須となります。
契約の書面内に「期間を定めた契約で更新が無く、期間満了で契約が終了する」ことを明記する義務があります。

ただし、必ずしも定借の物件に住んでいた場合契約満了で退去する、というわけでもありません。

定借には「契約終了型」と「再契約型」があります。

定期借家契約では、期間満了に伴い原則契約終了となりますが、双方の同意のもとであれば再契約することができます。これが「再契約型」です。

それではここからは、定期借家について更に掘り下げてお伝えしていきます。

定期借家契約の認知度や普及

国土交通省の「平成29年度住宅市場動向調査報告書」によると、この定期借家契約について「知っている」と回答したのが17.2%、「名前だけは知っている」が18.5%、「知らない」が64.2%という結果でした。

つまり、実質八割以上の方が定期借家契約の中身は知らない、ということになります。

賃貸経営に携わる立場からすると、意外なほど認知度が低い、という感想を持つかと思います。

 

では、普及率はどうでしょうか。

同調査報告書によると、借家契約の内訳は普通借家契約が97.5%、定期借家契約がわずか2.3%でした(0.2%は無回答)。

過去五年間の内訳の推移からみても、一切普及率が上昇しているとは言えません。
※平成25年度は4.4%が定借

現状を見ると、あまりにも利用されていません。

定期借家契約の活用方法

貸主や賃貸管理に携わる者としては知っていて当然の定期借家契約。

ですが上述の通り、一般的な認知度や普及率はあまりにも低いと言わざるを得ません。

ですがしっかりとメリット・デメリットを理解すれば有効に活用出来る場面も数多くあります。
今回は、貸主側の立場から見たメリット・デメリットから、その活用法を解説していきます。

定借のメリット

第一に、契約が任意の期間で終了する、ということです。

普通借家契約では契約期間は2年間が一般的です。そして1年未満の契約は出来ません。
一方定期借家契約では任意の契約期間を定めることが出来ます。1年未満の契約でも可能です。

契約期間が調整できることで、例えば
・2年間の海外出張の間持ち家を賃貸して、帰ってきたらまた住む
・老朽化した際に退去のタイミングを合わせて建て替えをする
・将来的に二世帯住宅にする予定だが、一世帯分を期間を定めて貸し出す
・数か月の出張の人等、短期入居希望者に貸し出す

といったことが可能になります。

 

そして第二に、再契約の選択権を持つ、ということです。

普通借家契約では、特段の自由が無い限り、更新の決定権は入居者が一方的に有します。
一方定期借家契約では、貸主側にも再契約の選択権があります。

再契約を前提とした定期借家契約では、貸主側に選択権があるということで、再契約のタイミングで不良入居者を整理したりすることが出来る立場になりますから、賃貸物件全体の質を保つことに対して保険がきくのです。

また、借主と貸主が対等な立場になることから、悪質なクレーム等をある程度予防する効果もあります。

定借のデメリット

これらのメリットに対してデメリットも当然あります。

入居者の立場から見てみるとデメリットが見えてきます。

普通借家契約と比べ、その部屋に住み続けられない可能性があるのが定期借家契約です。
ですので、入居者からすると同じ条件なのであれば普通借家契約を選択するのが自然な流れです。

普通借家契約に比べて定期借家契約は成約しづらい、というのが最も大きなデメリットであると言えます。

その為、定期借家と比べて割安な賃料が求められることもデメリットでしょう。

私の体感ではありますが、定期借家の賃貸は普通借家の賃貸と比べて約1~2割程度、賃料を安めに設定することが多いです。

最後に伝えたいこと

これまで定借のメリット・デメリットやその活用法についてご説明してきましたが、先にお伝えしている通り、その認知度や普及率は驚くほど低いものです。

この要因としては、案内をしていく不動産業者に責任の一端があると思っています。

不動産業界自体が保守的で昔の慣例・慣習を大事にしすぎる、という部分もありますが、定期借家に関しては不動産業者の知識不足や、知っていても説明不足が見受けられます。

特に再契約を前提としている場合、善良な入居者と善良な貸主であれば問題なく再契約をするのですし、貸主側もむやみに空室を生みたくないのが本音です。
(本来、賃貸物件を健全に運営するための再契約型であれば、普通借家の相場と同じような賃料を徴収しても問題ないのでは、と思っています。)
この「再契約型」があることを、入居者に対してもオーナーに対してもきちんと説明していない不動産業者が多すぎる、と感じています。

また、短期間の賃貸が可能など、入居者に対してもメリットがあるケースも勿論多々あります。

定期借家契約についてよく知り、私はもちろん、皆様方におかれましても、正しい認識を周りに発信して頂けると幸いです。

健全な賃貸経営の手段の一つとして、もう少し浸透してほしいものです。


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