2022年問題を解説!生産緑地解除以外の問題も!?

2022年問題を解説!生産緑地解除以外の問題も!?

2022年問題を解説!生産緑地解除以外の問題も!?

どうも、なば屋のモノグサ店長です。

賃貸経営を営む者でしたら誰しも、「2022年問題」や「2022年危機」と言った言葉を耳にしたことがあるかと思います。
もう2022年が来年に迫っていることもあり、耳にする機会が増えてきた方も多いことでしょう。

一般的に不動産市況において「2022年問題」「2022年危機」というと、生産緑地の解除によって土地が市場に溢れること、またはそれによって市場が影響を受けることを言うことが多いかと思います。

念のため、この生産緑地については機会があれば詳細にご説明することも考えておりますが、一旦はここでは予備知識として簡単にご説明します。

<予備知識>
生産緑地
生産緑地地区とは、都市計画上、農林漁業との調和を主たる目的とした地域。
要件は生産緑地法によって定められていて、農地・緑地として残すべき地区として自治体が指定する。
一旦指定されると一定要件を満たさない限り、原則として解除出来ない。解除の要件の一つとして「生産緑地に指定されてから30年経過」というものがあるが、生産緑地のうち大半が2022年にこの要件を満たす。

これまで原則解除できなかった生産緑地が一斉に解除されることで、2022年以降大量の「元生産緑地」が宅地として市場に流れ込み、不動産市場が暴落するのでは、と言われているのが一般に言う「2022年問題」です。

生産緑地については、アーカイブでも触れているのでこちらもご参照ください。

「用途地域って?正しく知って正しい賃貸計画を! https://nabaya-consulting.com/archives/839 」
生産緑地解除に合わせて作られた用途地域なんかもあるんで、是非あわせてご覧ください!

実は2022年危機は、この生産緑地解除以外にも大きな問題があると思っているのですが、あまり不動産市場・賃貸市場まわりでその話を聞かない様に感じています。
この問題は、ちょうど前回の記事と関わる部分もありますので、こちらもあわせてお読みいただけると幸いです。

「安易に「伸びている、拡大している」は危険!賃貸市場と出生率の話 https://nabaya-consulting.com/archives/986 」

さて、それでは、2022年危機についてお話ししましょう。


生産緑地解除による2022年問題

そもそも生産緑地が設定された背景から見ていきましょう。

生産緑地制度開始の背景

日本では1970年代頃から、市街地近辺の急激な人口増加が始まりました。
これによって、多くの土地が農地から宅地へと転用され、人口増加と並行して都市部の市街化が急激に進みました。

ところがこの市街化の裏で、緑地が急激に減少したことが、単純な環境悪化・地盤の保持機能の低下・保水機能の損失等の問題を引き起こし、実際に自然災害による多きな被害を受ける様になりました。

これに対し、農地の宅地転用の抑止策として制定されたのが「生産緑地法」です。
当時の生産緑地制度は制定後もどんどん農地の宅地化が進んでしまっていたこともあり、1992年に改正され、市街化区域の農地が「生産緑地」と「宅地化農地」に分けられるようになりました。

宅地化農地については宅地転用が認められます。
一方、生産緑地は緑地,農地として保全する土地であり、宅地への転用は認められません。また、建物や工作物の造成、土地に手を加えることも制限されます。農地として管理することを義務付けられる代わりに、税制面での優遇が受けられます。

生産緑地の解除がもたらすこと

実は生産緑地のほとんどは三大都市圏特定市(首都圏・関西圏・中部圏の政令指定都市)に集中しています。
そして実にその約8割が2022年に指定期限を終えます。(先にご説明した30年期限です)

2022年には主要都市部の生産緑地が一気に解除され、緑地・農地以外での土地活用が認められます。
売却も可能になります。

これが生産緑地解除がもたらす2022年の原因です。

現実的には元生産緑地が全て宅地として一斉に売りに出されるということはあり得ませんが、市場に土地の供給量が急激に増えることは間違いありません。

そして売りに出される土地の持ち主の中には

「固定資産税の支払いが無くなるなら、別に高く売る必要はない。」

という持ち主がかなりの割合で存在するはずです。
これまで何にも転用できず困っていた方々のうちの大半は、こういった意識になるでしょう。

こういった持ち主(高くなくてもいいから早く売りたい)の土地が市場に急激に増えることで、土地の値下げ競争が始まります。

その結果、地価の下落が考えられます。

影響を受けるのは勿論土地の価格だけではありません。

大量の宅地が出回り、しかも価格も下がることから、数年後には分譲住宅・分譲マンション・貸し家・賃貸マンション・賃貸アパートの数が確実に増えます。
結果として、今ある分譲・賃貸の物件は多くの新築が周辺エリアに出回る影響を受け、販売価格や賃料が下落します。

このため、私も5,6年前から
「これから建てる賃貸は2022年の生産緑地解除を受けても生き残っていける拘りを持った物件を造らなければいけませんよ」
といった案内はしてきましたが、残念ながら(当然かもしれませんが・・・)実感のあるオーナー様は少なかった様に感じます。

ちなみに・・・

原則として生産緑地として指定を受けている農地が農業をやめる場合、市町村に時価での土地の買取がお願い出来ることになっています。
ですが、財政的に全ての土地を買い取ることは不可能です。
その次に農業従事者に対しての売買の斡旋がされるのですが、農地としては買い手が付かないケースが多くなります。
その結果、不動産業者を通じて第三者に「宅地」として売りに出す、という流れも多くなります。



もう一つの2022年問題

冒頭でもお伝えしましたが、私は2022年問題はここまでお伝えしてきた「生産緑地解除」によるものだけでは無いと考えています。

先にアーカイブのリンクを貼らせて頂きましたが、出生率や団塊の世代に関わる部分です。
(もう一度貼っておきます 安易に「伸びている、拡大している」は危険!賃貸市場と出生率の話 )

実は保険業界や医療業界では数年前から「2022年危機」という言葉と共に問題に上がることが多かったのですが、不動産市場・賃貸市場に対しても徐々にではありますが、最終的には多大な影響を与えられるのは火を見るよりも明らかです。

2022年は、団塊の世代が75歳、つまり後期高齢者となり始める最初の年。
2022年から、団塊の世代全員が後期高齢者となる2025年にかけて、後期高齢者の医療費などを含めた国民全体の負担が大幅に増大されることが予想されています。
この対策として後期高齢者の医療費負担割合や保険給付範囲の見直し等の検討もされていますが、この有事(コロナ禍による経済悪化)の中、我々国民の負担が増えることは間違いない、と私は見ています。

あわせて経済悪化の影響もあり、住宅を求める方々の志向はどうしてもコスト減に向かうことは避けられません。

また、単純に入居者層の高齢化も進みます。

2022年を迎えると、国民の三人に一人が65歳以上、五人に一人が75歳以上になると言われています。

サ高住やバリアフリー物件が更に求められるようになるでしょう。

2022年問題に対してどう立ち向かうか?

この様に市場の悪化が予想される2022年。

こういった影響に対してどう立ち向かっていけばいいでしょうか。

まず生産緑地解除に対しては、生産緑地の所有者は「土地の売却は不動産価格の下落が始まる前に早めに」、購入検討者は「土地の購入は慌てず待ってみる」などが考えられます。

また、いずれの場合においても、下手に情報に振り回されてはいけない、という意識を持つことも重要です。

また、賃貸経営においては生産緑地解除による市場価格の下落・高齢化による市場の変化のいずれの場合でも、考えていかなければならないのは、

・ニーズに合わせる
・ターゲット層が減っても勝てる拘りを持つ

この二点だと思います。

前者は当然、市場で大きくなるニーズに合わせることで、その市場の中で淘汰されずに済みます。

ここでは例えば、「コストカットを実現する」ことや「高齢者ニーズに寄り添う物件づくりをする」ことです。
また、ターゲット層が減っても生まれる新たなニーズに答えることも対策の一つです。(例えば昨年で言うと、2部屋目としての「テレワーク需要」に答えた物件です。ただし、継続的な目線も必要ですので計画は慎重に進める必要がありますが)

そしてそれ以上に重要なのが後者だと考えています。

たとえターゲット層が減ったとしても選ばれ続けるハイクオリティな賃貸物件、必ずニーズを見込める立地、ニッチながら一定数のニーズは必ず確保できる拘りのコンセプト物件など、他の物件と比べて何かしらの魅力のある差別化物件がこれまで以上に求められます。



最後に

これまでお伝えしてきた2022年問題。

賃貸経営を営む者にとって、決して楽観視出来るものではありません。

2022年問題に立ち向かい、勝ち続ける賃貸物件の経営にしたいものです。

実は私も今、「2022年問題で影響を受けない」こともコンセプトの一つに置いた賃貸物件の計画にも携わっています。

当店では、無料で、ご相談者様の利益・満足を最優先したコンサルティングを行っております。
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